「P.T.」 新しいマーケティングのかたち


P.T.とは、PlayStationStoreから無料でダウンロードできるPlayStation4専用のゲームだ。

「P.T.公式サイト」

ジャンルとしてはアドベンチャーホラーゲームで、プレイヤーは一家惨殺事件のあった建物の中を探索する。
しかし進めるのはL字型の廊下と、ある一定条件時のみ入室できるバスルームだけだ。
しかもその限られた空間に、というより時空間に閉じ込められたように、何度もループしながら繰り返し探索することになる。

その間にイベントを消化し、全てのイベントを消化し終わると外に出ることができるわけだが、このイベントを起こすためのトリガーが、極めて難解につくられている。
PlayStation4のあらゆる機能、 DUALSHOCK(振動)や音声入力などがトリガーになっていたりする(それがなくてもクリアできるとの情報もあり)。

その難解さゆえに、ネット上では攻略を目的としたフォーラムが、いくつも開設されている。
しかし、そこに記載されている攻略法も情報が錯綜し、さらに攻略を難解なものにしているのが実情だ。
日本だけではなく、世界のゲーマーたちが今一番注目し、話題にしているのが、このP.T.というゲームだ…

実はこのゲーム、あるゲームの広告用につくられたゲームだ。
P.T.はPlayableTeaser(プレイアブルティザー)、つまり「遊べる広告」という意味だ。
ティーザー広告というのは、 “本来、広告で伝えるべき商品についての、要素のいくつかを意図して明らかにせず、注目を集める広告手法” のこと。

実際このゲームも、クリアしてエンディングを見るまでホラーゲーム「サイレントヒル」新プロジェクトの、広告だとは出てこないし、製作者名も制作会社名も出てこない。
つまり、このゲームをクリアできなければ、広告としての意味を成さないことになる。
しかし逆に言えば、これをプレイするほとんどの人間は最後までやらずにはいられなくなる自信があるのかも知れないし、もっと言えば、最後までプレイできた人にだけこの広告を伝えたい、という思いがあるのかも知れない。

ゲームの広告といえば、体験版というかたちで元になるゲームの冒頭部分を少しだけプレイできる、というのが主流だ。
広告用に全く新しい別のゲームを作った、というのは、僕の知る限り初めてではないだろうか。
しかもここまでつくりこまれ、世界中を熱狂させるゲームにするとは…
恐るべし、小島秀夫!

結果的には、この企みは成功したといえるだろう。
先に述べたように、今世界中のゲーマーたちはP.T.の話題で持ちきりだ。
プレイしていない僕まで、こんなことを知っているぐらいなのだから…

でもこういう広告の方法、他の業界でも応用できそうだね。
単純なティーザー広告ではなく、徹底的につくり込んだ商品と変わらないレベルの広告、これは話題になるはずだ。

[文中敬称略]

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