「東のエデン」はフジテレビの深夜アニメである、ノイタミナ初のオリジナルストーリーアニメだ。
原作・脚本・監督は、「攻殻機動隊S.A.C.」シリーズや「009 RE:CYBORG」の神山健治氏。
制作は、「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」や「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズのProduction I.G。
TV版が全11話、その後を描いた劇場版は「東のエデン 劇場版I The King of Eden」と「東のエデン 劇場版II Paradise Lost」の2作がある(劇場版公開にあたり、TV版の総集編「東のエデン 総集編 Air Communication」も作られた)。
キャッチコピーは「この国の”空気”に戦いを挑んだひとりの男の子と、彼を見守った女の子のたった11日間の物語」。
ストーリー
2010年11月22日月曜日、後に「迂闊な月曜日」と呼ばれる日本各地に10発のミサイルが落下する事件が発生した。
奇跡的に1人の犠牲者も出なかったことで、事件の記憶が人々の意識から消えかかっていた頃、11発目のミサイルが羽田沖で旅客機を直撃した…
観光でホワイトハウスを訪れていた森美咲(もりみ さき)は、一切の記憶を失っている滝沢朗(たきざわ あきら)と出会い、滝沢が所持していた82億円の電子マネーが入った携帯電話=ノブレス携帯を巡って、様々な事件に巻き込まれながらも、しだいに心惹かれていく…
東のエデンのオススメポイント
とてもサイバー
「攻殻機動隊S.A.C.」シリーズや「009 RE:CYBORG」など、神山監督の作品はサイバーなものが多いんだけど、これらは原作がSFだから当然だ。
「東のエデン」はオリジナルアニメで、時代背景も現代(2010年)にも関わらず、とてもサイバーだ。
主人公を取りまくメンバーは、パソコンや携帯電話を駆使し、ウェブサービスやSNSを使いこなし、時にはハッキングまでして事件の真相に迫っていく。
時代的にメンバーが使っているのはフィーチャーフォン、いわゆるガラケーなんだけど、唯一劇場版Ⅱでスーパーハカー、パンツこと板津豊(いたづ ゆたか)が使っている携帯が、通話終了と同時にアイコンが並ぶ四角い筐体のものだった。
コレってiPhoneかもしれない。
劇場版Ⅱの公開は2010年3月13日だから、タイミング的には3GSだろう。
確かにこの頃、iPhoneを使っている奴なんて一部のAppleマニアかギークぐらいで、まわりのほとんどはまだガラケーだったな…
このあたりの演出も、ギーク心をくすぐられる。
この時は夢の携帯だったノブレス携帯も、ほぼ実現化されている。
ジュイス=Siri(OK Google)、100億円=Apple Pay(Google Pay)と考えれば、ノブレス携帯はiPhone(スマートフォン)かもしれない。
残念ながらSiriは何でも叶えてくれるわけではないし、Apple Payには100億円なんて入っていないけど…
とてもオシャレ
神山作品の登場人物のファッションは隙がない。
それはいまだに、アパレルブランドと「攻殻機動隊S.A.C.」シリーズのコラボファッションの企画が続いていることからもわかる。
主人公である滝沢のファッションも、TV版前半はM65フィールドジャケット、後半の首都高タンクローリー横転事故以降はM51モッズパーカーに変わっている。
▷ ミニマリスト厳選の一着 !! M65フィールドジャケットは、意外なほどコーディネートの幅が広い
ふつうのアニメなら、ずっと同じものを着ている。
それをわざわざ着替えさせるところが、細かいというか、衣装にもこだわっていることがよく分かる。
履いているパンツも、板津のセリフからビンテージジーンズみたいだ。
それは神山監督がオシャレだからだろう。
ウェブ上の画像を見ても、細身のシングルラーダーにビンテージ(?)ジーンズ、ウォレットチェーンを着けて、とてもカッコイイ。
昔からアニメーターはダサいイメージがあったんだけど(←失礼)、神山監督は別だ。
意外と社会派
物語は、富の集中=格差社会による若者たちの無気力化=ニート化が下地になっている。
作品は2010年が舞台、それから5年(更新時点では10年!?)たった現在、物語のテーマはより深刻化しているといえる。
現在の社会システムが、物語の中でいう「あがりを決め込んだオッサン」たちによって一方的に構築された、とまではいわないけど、「歪」がさらに大きくなり、あちらこちらで破綻し始めていることも事実だ。
成熟した資本主義社会が普遍的に抱える問題点を、この作品はアニメという表現方法で切り取っているんじゃないだろうか。
神山監督自身この作品を「社会にコミットしない人物達の視点で作品を描いた」といってるみたいだし…
このあたりをあまり突き詰めると、このブログの主旨である「社会問題を取りあげない」に反するからこれくらいで…
まとめ
「東のエデン」は、それなりに話題になった作品だから、アニメファンなら見ている人も多いと思うけど、そうじゃない人にもぜひ見てもらいたい。
難しい理屈は抜きにしても、絵のグレードは高いし、演出も巧みで物語にも破綻がない。
そこここに散りばめられたギャグも微笑ましいものが多いし、単純に見ていて楽しいアニメだ。
そんな中から、何か考えるものがあれば、最高なんじゃないかな…
もしあなたが、「100億円やるからこの国を良くしろ」と言われたらどうしますか?
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東のエデン
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