愛は地球を救う!?「散歩する侵略者」


先日、長澤まさみ主演のテレビドラマ、「コンフィデンスマンJP」についてブログを書いていて思い出した。

復活の月9!? 「コンフィデンスマンJP」は上質のコンゲームドラマだ!

僕には見たい映画があったのだ。
「散歩する侵略者」だ。

注)これ以降、盛大にネタバレしているので、気になる人は先に映画を見ることをオススメする。

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散歩する侵略者

行方不明になっていた加瀬鳴海(長澤まさみ)の夫、加瀬真治(松田龍平)が発見される。
しかし真治は、まるで別人のように穏やかで優しくなっていた。
そんな夫にイラつきながらも、どこか気になる鳴海。
真治は仕事も辞めてしまい、毎日のように散歩に出かける…

一方、一家惨殺事件を追っていたルポライター・桜井(長谷川博己)は、現場周辺で奇妙な少年・天野(高杉真宙)に出会う。
天野は事件の中心人物である少女・立花あきら(恒松祐里)を一緒に探して欲しいという。
そして天野は、自分は宇宙人であり地球侵略を目的としていることを桜井に告げる…

地球に尖兵としてやってきた宇宙人の目的は、人類のデータ収集。
人間が持つ様々な “概念” を、超常能力で取り込み理解しようとする。
概念を取り込まれた人間は、その概念を失ってしまう。

鳴海の妹・明日美(前田敦子)は “家族” という概念を失い、その呪縛から解放される。
ヒキコモリの丸尾(満島真之介)は “所有” という概念を失い、家から出ることができる。
刑事・車田(児島一哉)は “自分” という概念を失い、自分と他人を比べることを止める。
鳴海のクライアント会社の社長・鈴木(光石研)は “仕事” という概念を失い、働くのをやめ子供のように遊び呆ける。

そして鳴海は “愛” という概念を、真治に与えてしまう…

やがて宇宙人の侵略が開始されるが…

☆ ☆ ☆

とても不思議な味わいの、宇宙人侵略もののSF映画だ。
オドロオドロしいエイリアンも、UFOも登場しない。
それでいて話の展開が巧みで、130分という時間を退屈することなく一気に観ることができた。

また、侵略者が人間の “概念” を奪うという仕組みが面白い。
“概念” とは、いったい何なのだろうか。

大辞林によると、

① ある事物の概括的で大まかな意味内容。
② 事物が思考によって捉えられたり表現される時の思考内容や表現、またその言語表現の意味内容。

などとあるが、はっきりいってよく分からない。
だから侵略者も、言葉で知るのではなく超常能力で直接抜き出したのだろうか。

いずれにしても僕たちの思考やアイデンティティは、このわけが分からない “概念” によって成り立っているといって良さそうだ。

ブルークリスマスと死霊狩り

この映画を、ウルトラセブン的と評する人が少なくないようだ。
確かに後半で制作費が厳しくなったことで作られた、“怪獣が出ない三部作” に似た雰囲気がある。
そういえば三部作のひとつは、「侵略する死者たち」というタイトルだった(内容はぜんぜん違うけど…)。

それより僕は日本SF映画の名作、「ブルークリスマス BLOOD TYPE:BLUE」を思い出した。
世界各地にUFOの目撃情報が多発し、それを目撃した人たちの血液が青くなる。
血液が青くなった人々は反逆者のレッテルを貼られ、クリスマスの夜にブルークリスマス作戦で抹殺されることになるが…

当時、スター・ウォーズや未知との遭遇などのヒットのなか、特撮を一切使わず作られたSF映画だ。
それでいて、しっかりSF作品として成立しているのは、監督は「独立愚連隊シリーズ」や「日本のいちばん長い日」の岡本喜八、脚本はあの「北の国から」の倉本聰だからだ。
1978年公開だから40年前の作品ではあるが、今でも見る価値がある名作だ。
ラストは、あまりにも切なくて悲しい。
そして竹下景子が長澤まさみに負けないくらい可愛い…

もうひとつは僕が好きなSF作家、平井和正の「死霊狩り」だ。
人間と同化し地球を侵略すると考えられている地球外生物 “ゾンビー” 。
ゾンビーに乗っ取られた人間は、凶暴化したうえに体を傷つけられてもすぐに回復し、不死身化する。
その “ゾンビー” を殲滅すべく、国家を超えて超法規的に組織されたのが “ゾンビーハンター” だ。
「ウルフガイ」や「幻魔大戦」と同じく、マンガ「デスハンター」を原作者自ら小説家したもの。
テーマは「散歩する侵略者」とは逆で、凶暴なのは人間の方だったという、いかにも人類ダメ小説家・平井和正らしい作品だ。
特に僕は、この物語の本質ともいうべき第2巻が好きだ。

それにしてもこの表紙、よく見ると「アンドロイドお雪」に続いて、またしてもネタバレしてるな…

「エクス・マキナ」はサイバーパンクか、SFホラーか!?

まとめ

宇宙人の侵略で人類が滅亡するなら私の愛を全部あげると、鳴海は真治に “愛” という概念をすべて与えてしまう。
“愛” を失った鳴海は感情を失くし、“愛” を得た真治は献身的に鳴海に寄り添う…

この映画のラストを、ハッピーエンドと見るのかバッドエンドと見るのか微妙なところだ。
人それぞれで、捉え方は違ってくるのかもしれない。

結局 “愛” は、いつも一方通行というわけか…

[文中敬称略]

散歩する侵略者
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