PR

キミは2.5次元アイドル「小森まなみ」を知っているか !?

IMG_0344

小森まなみを知っている人は、おそらくアラフォー以上の人ではないだろうか。
小森まなみは、1980年台後半から1990年台に活躍したラジオDJだ。

1980年台後半といえば、松田聖子や中森明菜、小泉今日子、菊池桃子、中山美穂などアイドル全盛期だ。また、社会現象にもなったテレビ番組「夕やけニャンニャン」が始まったのも1985年。そこから登場したアイドルグループ、おニャン子クラブは1987年に解散するまで、アイドル界を席巻する。

一方、1979年にテレビ放送が始まり、その後映画化もされた「機動戦士ガンダム」を機に空前のアニメブームが巻き起こったのも1980年台から。1985年にはその続編「機動戦士Zガンダム」の放送が始まる。宮﨑駿の「風の谷のナウシカ」が1984年、「天空の城ラピュタ」が1986年。「ドラゴンボール」や「北斗の拳」が始まったのも1980年台後半だ。

アイドルとアニメ、今のサブカルチャーの原型が誕生したのはこの時期ではなかったか、と思う。
しかしこの時はまだ、アイドルファンはアイドルファンで、少なくともマニアックな視点でアニメを見ることはなかったし、アニメヲタもたとえブラウン管の向こうとはいえ、実体を持ったアイドルは苦手だった。

そんなアニメヲタの前に降臨した実体を持つアイドルが「小森まなみ」だった。
ラジオのスピーカーから聞こえる彼女の声は、まるでアニメキャラクターのように愛らしく優しかった。また、アニメやマンガにも寛容で、当時の一般の女の子のように、アニメヲタを気味悪がることもなかった*1
そう、彼女は僕らのガラスのハートをキズつける存在ではなかったのだ。

僕らは彼女に熱狂した。毎週のようにラジオを聴き、時にはエアチェックしてカセットテープ(時代だね…)が伸びきるまで繰り返し聴いた。実体を持つはずの彼女は、しかし僕らにとっては、その声質と同様にアニメキャラクターのような存在だった。

その後、彼女は少しずつテレビにも登場するようになった。
そこには、その声質に相応しい、小柄で愛らしい彼女がいた。僕らはその姿を見て安心したものだ。

しかし、そんな僕らもいつしか大人になった。現実の女の子に恋をし、彼女のことを少しずつ忘れていった。
現実の女の子は、時に僕らが大切にしているアニメのVHS(これも時代…)やマンガ、プラモデルをバカにしたけど、僕たちはもうキズつかないくらいには大人になっていた。時代もまた、ヲタクに対し少しずつ寛容になり始めていた。

やがて…

アニメやマンガ、フィギアやプラモ、そしてアイドルまでもが、サブカルチャーというカッコイイ(?)ネーミングを与えられて市民権を得ることになる。
今は30歳代、40歳代でも平気でアニメやアイドルの話ができる。特別、気味悪がられることもない(ホントに?)。

それでも…

僕は今でもたまに彼女のことを思い出す。
そんな時は彼女のCDを聞いたり、エアチェックしたカセットテープを聴く。
彼女の声や歌声は、(当然)当時のままだ。
僕らの暗黒時代を支えてくれた、2.5次元アイドル、それが小森まなみだ。

[文中敬称略]

アニメヲタを気味悪がることもなかった*1 「超時空要塞マクロス」でヒロイン、リン・ミンメイの声を演じたシンガーソングライター飯島真理は、その後自分のライブにアニメヲタが集まることを嫌っていた。しかしその反応は、けっして珍しいものではなかった。当時のほとんどの女の子はアニメヲタを特異な目で見ていたし、彼女は何よりも自分をアニメ声優ではなく、シンガーとしてあつかって欲しかったのだろう。でも、最近はライブでも一曲はミンメイの歌を歌っているらしい。うれしいことだ。