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ミニマリスト必読の一冊! 鴨長明「方丈記」


“ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし…” 。
学生の頃、この冒頭の文章を暗唱させられた人も少なくないだろう。
それくらいこの文章は、日本文学を代表する名文だといえる。
鴨長明の「方丈記」だ。

ちょっと興味があって「方丈記」を十数年ぶりに読み返してみたら、思ったとおりこの時の鴨長明は僕らが目指すミニマリストに近いことが分かった。

鴨長明はミニマリスト!?

鴨長明は、平安時代末期から鎌倉時代にかけての人物、歌人・文筆家だ。

下鴨神社の神官の次男として生まれたが、若い頃に父を亡くしている。
後ろ盾を失った長明はその後、琵琶や和歌を学び文芸の道へと進む。
「千載和歌集」にも入集するほど一時は活躍したが、父の職でもあった神職が諦めきれず、何度も挑戦するが採用されることなく挫折。
やがて長明は世を儚み歌壇からも去り、身の回りをすべて整理して、京都日野山に一丈四方(方丈)の庵を結び、そこで「方丈記」を記す…

鴨長明は数々の挫折を経たのち、職業や金品にあくせくする生活が嫌になり放浪の末、最小限のものと住まいで好きなことだけに集中できる生活を選んだ。
この考え方は、今ミニマリストを目指している人たちと通じるものがありそうだ。

「方丈記」はミニマリストブログ!?

そんなミニマリスト生活で記された「方丈記」は鎌倉時代の随筆。
「枕草子」や「徒然草」と並んで日本三大随筆と呼ばれている。
漢字と仮名の混ざった和漢混交文を特徴としている。

内容は五部に大別される。

  1. この世の無常を感じ、方丈記を記すことになった理由
  2. 安元の大火や治承の大風、元暦の地震など最近起こった災厄の詳細と見解
  3. 方丈の庵を結ぶに至った考え方
  4. 現在の生活と心境
  5. 人生の終焉に向かっての反省

テーマごとに別れていて、対句が多く明快・流麗で詠嘆的な文章は、まるでブログを読んでいるようだ。
特に3と4は、今現在のミニマリストの考え方とも驚くほど重なっていて興味深い。
ミニマリスト的思考は、すでに鎌倉時代に完成されていたのかもしれない…

まとめ

ミニマリストと考えられている人(本人が認めているかは別にして…)は、2つのタイプに大別されると思う。
高城剛氏や四角大輔氏のように、世界を股にかけ常に移動を繰り返しているタイプと、鴨長明のようにひとつの場所に引き籠もって自分の好きなことだけをするタイプだ。

一般的には移動タイプ(?)を目指す人が多いようだが、コミュ障・ヒキコモリの僕は、圧倒的に鴨長明タイプだ。
僕も将来は、どこか静かなところに小さな部屋を借りて、本を読んで楽器を弾いて、たまにブログを書く生活ができたらなぁ、と思う…

「方丈記」は、全体で原稿用紙に換算してわずか22枚の短い内容なので、気軽に読むことができる。
読み返すたびに趣が変わるのも、魅力のひとつだ。

青空文庫でも配信されているので、Kindleでも無料。

和漢混交文だから、中学レベルの古文読解能力があれば理解できるが、難しければ現代語訳もある(こちらは有料…)。

水木しげる画のマンガもある。

これKindleにならんかな…