Amazonプライムビデオで観る宍戸錠主演、日活ハードボイルド映画の魅力


前回はAmazonプライムビデオで観られる日活アクション映画の魅力を紹介した。

Amazonプライムビデオで観る、日活アクション映画の魅力

そこで、あえて触れていない事がある。
渡り鳥シリーズの数話、拳銃無頼帖シリーズ4作品で、主人公の好敵手を演じていた、エースのジョーこと宍戸錠の存在だ。

宍戸錠は存在感のある脇役を演じた後、石原裕次郎のケガ(スキーでの骨折)と赤木圭一郎の事故死で、主役に格上げされた。
そして、いくつかの傑作ハードボイルド作品を残している。

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野獣の青春

原作は大藪春彦の「人狩り」、監督は鈴木清順。
清順作品としては初期のものであるが、すでに “清順美学” があちこちに見てとれる。

導入部、モノクロの映像で殺人事件現場の実況見分が行われている。
花瓶の椿の花だけが赤く、次に場面が変わるとカラー画面になり、物語が始まる。

ラスト、庭の椿の花が落ち、その赤い花びらだけを残し、画面がモノクロームに変わる…

登場人物も曲者揃いだ。
サディストのキャバレー経営者とその弟、片腕のない用心棒、酒も女も興味がない拳銃狂いの殺し屋…

清順作品としては非常に観やすい。
後期清順作品のように、美学が先行した分かりにくい映画ではない。
ふつうに楽しめる作品だ。

拳銃(コルト)は俺のパスポート

タイトルを聞いてピンと来た人もいるだろう。
元THE BLUE HEARTSのマーシーこと真島昌利の、「アンダルシアに憧れて」の歌詞の一節に、このタイトルが使われている。
この歌は、あきらかに日活ハードボイルドアクション映画の影響を受けているが、それはまた別の話だ。

この作品は宍戸錠の代表作であると同時に、和製ハードボイルド映画の傑作といっても良い。
宍戸錠演じる殺し屋が、依頼どおり仕事を終えると依頼主から裏切られ、逆に命を狙われる。
そんな逃亡劇から復讐劇まで、典型的なハードボイルド的展開を、小気味よいテンポで描く。

脇役時代からのコメディー的な演技は、この作品では一切封印。
無口でクール、ほとんど笑うこともないハードボイルドな演技に徹している。
そういう意味でも、必見の作品だ。

“コルト” とタイトルにはあるが、主人公はベレッタを使っている、などといってはいけない。
この映画にとって、そんなことは些細なことだ(だから主人公は海外に逃げなかったのか?)。

殺しの烙印

邦画ファン必見の問題作。
監督は「野獣の青春」と同じ鈴木清順。
鈴木清順はこれを撮った後、約10年業界から干され、映画を撮れなくなる。

殺し屋界の頂点、ナンバー1を狙ってしのぎを削る。
映画の中で日常生活は、ほとんど描かれていない。
非日常的な場面、抽象的場面が延々と続く。
そこには何の説明もない。

逆にいえば、退屈で面倒くさい説明部分を端折って、クライマックスシーンだけをみせる。
いわば、すべて見せ場の連続だ。

これまでの分かりやすい日活映画を見慣れた人は、面食らったことだろう。
当時の日活上層部も「あいつに映画を撮らせるな」ということで、鈴木清順は干されてしまった…

今では鈴木清順の初期の傑作として、一定の評価を得ている。
清順ファンのみならず、すべての映画ファン必見の名作だ。

後日談ともいうべき続編、江角マキコ主演「ピストルオペラ」も撮られている。
ここでは「殺しの烙印」で宍戸錠が演じた主人公、年老いた花田五郎を平幹二朗が演じている。
これも必見だが、残念ながらAmazonプライムビデオには入っていない…

まとめ

他にも宍戸錠主演のハードボイルドアクション映画はたくさんある。

そのひとつ、「みな殺しの拳銃」も紹介したいところだ。
しかしAmazonプライムビデオには入っていない。
それどころかDVD化もされていない。
実は僕も観たことがないので、ぜひともAmazonプライムビデオに入れて欲しい。

[文中敬称略]


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