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Amazonプライムビデオで観る、日活アクション映画の魅力


“日活” といえば、僕らの年代は “ロマンポルノ” だ。
しかしそれ以前、国民的エンターテイメントとして栄華を極めた時代がある。

その時代の作品が、去年末(2020年末)くらいから、続々とAmazonプライムビデオで公開されている。
個人的なオススメ作品を紹介しておこう。

渡り鳥シリーズ

西部劇でもない、時代劇でもない、まさに無国籍アクションの代表作。
ギターを持った渡り鳥」「口笛が流れる港町」「渡り鳥いつまた帰る」「赤い夕陽の渡り鳥」「大草原の渡り鳥」「波涛を越える渡り鳥」「大海原を行く渡り鳥」「渡り鳥北へ帰る」「渡り鳥故郷へ帰る」の全9作。
そのすべてが、今Amazonプライムビデオで視聴可能だ。

牧場や鉱山などを狙う悪党を、小林旭演じる滝伸次(どういう理由か「渡り鳥故郷へ帰る」だけ滝浩…)が、ギター片手にやっつける。

物語は連続性はなく、どれも大同小異。
どれから観ても大丈夫だ。
逆にいえば、全部観る必要はない。
気になったものを2〜3本観れば十分だろう(もちろん気に入れば全話観ても良い)。

オススメは2作目の「口笛が流れる港町」。
ただしタイトルに反して、舞台は山間の鉱山で “港町” ではない。
「口笛が流れる港町」は劇中で流れる、小林旭の歌のタイトルだ。
途中、取ってつけたような港の風景と口笛のようなBGMがあるだけだ。
タイトルが先行して、映画が作られたのだろう。

シリーズ化が始まり、具体的に物語の骨格がしかりし始めた頃だ。
シリーズ中、唯一 “渡り鳥” がタイトルに使われていない。
そういう意味でも、必見の名作だ。

拳銃無頼帖シリーズ

渡り鳥シリーズと並ぶ、日活アクションの代表シリーズ。
拳銃無頼帖・抜き射ちの竜」「拳銃無頼帖・電光石火の男」「拳銃無頼帖・不敵に笑う男」「拳銃無頼帖・明日なき男」の全4作。

内容は渡り鳥シリーズと似ているが、相違点も多い。
渡り鳥シリーズが自然豊かな地方の街を舞台にしているのに対し、拳銃無頼帖シリーズは都会。
渡り鳥シリーズの主人公は組織に属さない流れ者に対し、拳銃無頼帖シリーズは(元)ヤクザもの。
何よりも主人公のキャラクターが違う。
渡り鳥シリーズがギターを弾いて歌も歌える “陽” に対し、拳銃無頼帖シリーズは拳銃だけが頼りの “陰”。
2シリーズを観比べてみるのも一興だ。

主人公を演じる赤木圭一郎は、ゴーカート事故により21歳の若さで急逝している。
彼が和製ジェームス・ディーンと呼ばれる所以だ。

野良猫ロックシリーズ

日活アクション映画の終焉間近、徒花のような作品群。
女番長・野良猫ロック」「野良猫ロック・ワイルドジャンボ」「野良猫ロック・セックスハンター」「野良猫ロック・マシンアニマル」「野良猫ロック・暴走集団’71」の全5作。

すべて登場人物もストーリーも違う、シリーズ物とはいえ別作品だ。
全作を通じて登場するのは藤竜也と梶芽衣子のみ。
しかも全話別役を演じている。

監督は長谷部安春と藤田敏八が、ほぼ交互に担当している。
当然、微妙に作風が違い、長谷部演出(女番長、セックスハンター、マシンアニマル)はグループ同士の抗争、藤田演出(ワイルドジャンボ、暴走集団’71)は権力に対する挑戦を主に描いている。

シリーズといって良いのかどうか、意見の分かれるところではあるが、ストーリーの底の部分で不思議な共通性を感じないでもない。

まとめ

少し前、日活映画配信がTwitterで観たい作品を募集していた。


僕は赤木圭一郎の初主演作で鈴木清順監督作品の「素っ裸の年齢」や、“野良猫ロックシリーズ” の番外編ともいうべき渡哲也・藤竜也の「野獣を消せ」をリツイートしておいた。

しかし一番観たい日活ムードアクションの傑作、石原裕次郎・浅丘ルリ子の「赤いハンカチ」を忘れていた。
「嵐を呼ぶ男」や「銀座の恋の物語」、「憎いあンちくしょう」がすでにAmazonプライムビデオにはいっているので、「赤いハンカチ」もそろそろ入れてほしいな。

あと1960年代以前の作品ではないけど、日活アクション映画のアンソロジー、矢作俊彦監督・構成・脚本の「AGAIN アゲイン」も観たい。

[文中敬称略]

 
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