半世紀前にアニメ化されて以来、現在まで断続的に続いている国民的アニメ(?)「ルパン三世」。
TVシリーズ・劇場版、話題作・名作・問題作など、盛りだくさんだ。
何といっても一番の問題作は、「ルパン三世 風魔一族の陰謀」だろう。
「ルパン三世 風魔一族の陰謀」とは
「ルパン三世 風魔一族の陰謀」は、「ルパン三世(後に「ルパンVS複製人間」の副題追加)」「ルパン三世 カリオストロの城」「ルパン三世 バビロンの黄金伝説」に続く、劇場版第4作にしてOVA第1作。
本作には劇場版には存在するはずの、“監督” がクレジットされていない。
しかし内容を観ると、
- ルパンは「TV第1シリーズ」「カリオストロ」の “緑ジャケット” を着ている。
- 登場車両(ルパンが乗るフィアット500、銭形が使うパトカーは日産ブルーバード、カーチェイスに登場するシトロエン2CV)が「カリオストロ」に準じている。
- その他キャラクターデザインも、「TV第1シリーズ」に準じている
ことから、「TV第1シリーズ」「カリオストロ」で作画監督をしていた、大塚康生(本作では監修とクレジットされている)の事実上の監督作品ではないかと個人的には思っている。
主要声優陣総入替作品!?
本作品では主要声優陣が総入換えが行われている。
- ルパン三世:山田康雄→古川登志夫
- 次元大介:小林清志→銀河万丈
- 石川五ェ門:井上真樹夫→塩沢兼人
- 峰不二子:増山江威子→小山茉美
- 銭形警部:納谷悟朗→加藤精三
この総入換えには賛否両論、というより “否” が多く、新声優に脅迫文などが送られたりしたという。
従来のメンバーではギャラが高く、当時経営不振の制作会社 東京ムービー新社では払いきれなかったことが原因と、一般的には考えられている。
しかし、「カリオストロ」の時の山田康雄の横柄な態度が気に入らず、監督の宮﨑駿に大塚康生が「降ろしてしまえ」と耳打ちしたというエピソードから、このあたりにも大塚康生の影響があったのではないかと考えている。
「ルパン三世 風魔一族の陰謀」の見どころ
声優の変更は、意外なほど気にならない。
さすが実力派揃いのの声優陣だ。
今回の主役は石川五ェ門。
「カリオストロ」では出番が少なかったが、今回はそれを取り返す勢いで大活躍している。
美少女と老人、風魔忍軍など、ストーリーも「カリオストロ」を思わせるところが少なくない。
五ェ門版「カリオストロ」といったところか。
五ェ門好きには必見の作品だ。
何といっても最大の見どころは、ルパンのフィアット500と銭形のブルパトのカーチェイス。
途中に登場するシトロエン2CV(「カリオストロ」でクラリスが乗ってたやつ)も楽しい。
大塚康生のギャグセンスが生かされ、「カリオストロ」の冒頭部分のカーチェイスに匹敵する楽しさだ。
やはり全編、「カリオストロ」で作画監督を務めていた、大塚康生の影響力が大きい作品という印象だ。
まとめ
主要声優陣総入替で評価が低かった本作品であるが、改めて観てみると意外と(?)面白い。
後に評価が上がってきたのも頷ける。
特に「TV第1シリーズ」「カリオストロ」好きは、ぜひ観て欲しい作品だ。
数少ない大塚康生監督作品(?)が、Amazonプライム・ビデオに有料版でも入っていないのが残念だ…
[文中敬称略]
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