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やはり僕は仮面ライダー世代なのか!?「シン・仮面ライダー」はオマージュがイッパイ!【追記あり】


「シン・ウルトラマン」公開時ほどテンションが上がらず、時間ができたら観に行くか、くらいの気持ちだった。
ところが今週、雨が続いたこともあり、その時間ができてしまった。
というわけで重い腰を上げて観に行ったわけだが、コレが想像以上に面白かった。
「シン・仮面ライダー」だ。

※ これ以降、映画「シン・仮面ライダー」のネタバレを含んでいる。

シン・仮面ライダーはメタフィクション?




ストーリーはTV版の初期仮面ライダーと、石ノ森章太郎のマンガ版仮面ラーダーに沿ったもの。
幼少期、その2つに親しんだ僕世代などはよく解ったが、それ以外の人、特に若い人などには少し不親切なストーリー運びだったかも知れない。

特にTV版の初期仮面ライダー撮影時の裏事情も、ストーリーに上手く組み込まれている。

例えば2号ライダー。
2号ライダーはバイクを使わず、いわゆる変身ポーズで返信できる、バージョンアップバッタオーグとして登場する。
これはTV版の初期仮面ライダーで2号を演じた佐々木剛が2輪免許を持っておらず、バイクでベルトに風を受けて変身するという場面が撮影できないことから、苦肉の策として変身ポーズを取ることにしたらしい、ということをストーリーに取り入れたのだろう。

2号ライダーが登場したこと自体が、撮影時に本郷猛役の藤岡弘(当時)が骨折して、撮影を継続することができなくなったことが理由だ。
これも「シン・仮面ライダー」で、1号ライダーが2号ライダーとの戦闘により足をやられる、という場面に取り入れられている(1号ライダーを演じた池松壮亮も、アクションシーンの練習中に足を負傷していたようだが、これまで演出なら何がメタフィクションか分からなくかる…)。

撮影時の裏事情を本編に取り入れるというのは「シン・ウルトラマン」でもやっており(ウルトラマンの顔が微妙に変わる、ザラブにチョップした後の手など…)、僕たちヲタクにとってはうれしいところだ。

石ノ森章太郎をはじめオマージュの塊

先の「シン・ゴジラ」や「シン・ウルトラマン」も様々な作品のオマージュが含まれていたが、「シン・仮面ライダー」はそれにも増して満載されていた。

特に石ノ森章太郎作品へのオマージュが、当然のこと多い。
まず人工知能アイ(AI/I)が創り出した外世界観測用人工知能・ジェイ(J)は、顔の半分が仮面、もう半分が機械という姿は「人造人間キカイダー」。

さらにジェイの発展形・ケイ(K)は、名前といいビジュアルといい、どう見ても「ロボット刑事」だ。

ロボット刑事 Kindle版
石ノ森章太郎

そしてオオゴマダラをモチーフにしたチョウオーグは、「イナズマン」や「仮面ライダーV3」といったように、石ノ森章太郎作品の目白押しだ。

額にある蝶の口吻、蛹から完全体であるチョウオーグに完全変態する様子は「イナズマン」。

イナズマン Kindle版
石ノ森章太郎

仮面のデザインモチーフと白いマフラー、ダブルタイフーンベルトは「仮面ライダーV3」。
また、父(緑川弘)と母(緑川硝子)、そして妹(緑川ルリ子)を亡くしている(亡くす)ことも、仮面ライダーV3の風見志郎と同じだ(デストロンに殺られたわけではないけど…)。

あまり言及されていないようだが、庵野秀明が愛する作品「機動戦士ガンダム」のオマージュもあるのではないかと、個人的には考えている。

ひとりハビタット世界に行く緑川イチローを呼び止めようとする緑川ルリ子の姿は、兄シャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン)を追う妹セイラ・マス(アルテイシア・ソム・ダイクン)を思わせる。

そう見るなら緑川ルリ子を亡くし、涙する顔を見せまいと仮面で隠す本郷猛の姿は、ララァ・スンを喪った後に戦線を離脱しながら仮面の下で涙するシャア・アズナブルに重なる。

緑川ルリ子はリアル綾波レイ?

オマージュは他作家の作品からだけではない。
庵野自身の作品からも、オマージュが伺える。
主人公の一人、緑川ルリ子だ。

TV版の初期仮面ライダーと石ノ森章太郎のマンガ版仮面ラーダーでは、緑川ルリ子は単に緑川博士の娘として登場する。
しかし「シン・仮面ライダー」では、そうではなく、緑川博士の娘ではあるが、その出生が特殊だ。
人工子宮から生まれた生体電算機という存在で、目からデータを直接脳にインストールできるという。

出生の過程とも重なって、庵野監督の「シン・エヴァンゲリオン」のアヤナミレイ(仮称)を彷彿とさせる。

物語の冒頭では、SHOCKERから連れ出した本郷猛を、「優しすぎる」ということで態度が冷たい。
表情も乏しく、取り付く島もないという感じだ。
それが本郷猛と接しているうちに、そして親友だったヒロミ=ハチオーグの死という悲しみを経て、少しずつ人間性(?)を取り戻していく。
その姿は、アヤナミレイ(仮称)そのものだ。

そう考えるとヒロミ=ハチオーグは、ツインテールでサディステイックな言動といい式波・アスカ・ラングレーか(ヒロミ=ハチオーグが、緑川ルリ子のように人工子宮から生まれたのではなく、元はふつうの人間だったら惣流・アスカ・ラングレーか…)。

また玉座に座る緑川イチローの姿は、庵野監督のもう一つの代表作「ふしぎの海のナディア」の、ネオ皇帝(ビナシス・ラ・アルウォール)に見えなくもない。
緑川イチローと緑川ルリ子は、ビナシス・ラ・アルウォールとナディア・ラ・アルウォールかもしれない…

まとめ


▲ というわけで、またこんなものを買ってしまった… シン・仮面ライダーといえば、やっぱコート着てないとね…

このように「シン・仮面ライダー」は、多くのオマージュに満ちている。
「シン・ゴジラ」や「シン・ウルトラマン」以上かもしれない。
その他にも、まだ僕が気づいていないオマージュもあるはずだ。
もう一度劇場に足を運ぶ必要があるのか?

やはり僕は仮面ライダー世代なのかもしれない…

[文中敬称略]