前作がカルト的人気があり過ぎて、公開前から賛否両論が巻き起こっていた「ブレードランナー 2049」。
僕も劇場で見ようと思っていたのだが、忙しくて時間がとれなかったのと、2時間43分という上映時間の長さから最後まで居眠りせずに見る自信がなく、結局今さらながらAmazonプライム・ビデオで見た。
結論からいうと、居眠りする暇もなく一気に見ることができる傑作だった。
ブレードランナー
「ブレードランナー」は今さら説明する必要もない、1982年(36年前!)公開 監督リドリー・スコットのSF映画だ。
原作はフィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」だが、別物といって良いだろう。
何しろ “ブレードランナー” や “レプリカント” という映画にとって重要な文言が、小説には登場しない。
“レプリカント” は遺伝子工学によって造られた人造人間で、“ブレードランナー” は人間社会に紛れ込んだレプリカントを廃棄処理(処刑)する捜査官。
「ブレードランナー」には、「オリジナル劇場公開版」「インターナショナル劇場公開版」「ディレクターズ・カット版」「ファイナル・カット版」など、いくつかのバージョンがある。
現時点で、どれを決定版とするかは難しいところではあるが、最新版(?)の「ファイナル・カット版」がオススメか…
いずれにしても「ブレードランナー 2049」の前に、「ブレードランナー」を未見の人はもちろん、見たことがある人も念のためにおさらいの意味で見ておいた方が良いだろう。
ブレードランナー 2049
監督はカナダ人のドゥニ・ヴィルヌーヴ。
リドリー・スコットは製作総指揮を務めている。
前作「ブレードランナー」が2019年(来年!?)を舞台にしているから、その30年後の世界を描いている。
主人公は “ブレードランナー” の、ネクサス9型レプリカントK。
旧型のレプリカントを廃棄処理(本作では解任)した後、木の下にトランクが埋められているのを発見する。
トランクの中は遺骨、しかもデッカード(前作の主人公)と行方不明になったレプリカント、レイチェルの遺骨であったことから物語は始まる。
今作の主人公Kは、前作の颯爽としたやり手 “ブレードランナー” のデッカードと違い、職場でも同僚(人間)から “人間もどき” とバカにされている、どこか頼りなげな男。
バーチャルAIのジョイだけが心のよりどころだ。
検死の結果、レイチェルの死因が出産時の帝王切開であったことが分かり、レプリカントの妊娠・出産というスキャンダルを隠蔽するために、Kにすべての痕跡を抹消する命令が下る…
と、完全に前作を継承している、正統続編だ。
したがって、前作を見ていないと面白さが半減するだけでなく、ストーリーを理解できないかもしれない。
デッカードはレプリカントだったのか!?
前作で解決できなかった最も大きな疑問が、主人公のデッカードもレプリカントだったのではないか、ということだ。
本作で、その結論が出るはず、と期待されていた。
前作でデッカードを演じたハリソン・フォードが同じ役で登場する。
当然ハリソン・フォードは35年分歳をとっっているから、その姿で登場している。
これをもって、やはりデッカードはレプリカントではなかった、という意見もあるようだ。
しかしレプリカントはアンドロイドではなく人造人間だし、妊娠・出産する機能(?)をもったレプリカントが老化してもおかしくない(ほとんどのレプリカントには、老化する前に活動停止(死亡?)するよう寿命が設定されている)。
その他の要素は、デッカードはレプリカント、というものばかりに僕には見えるのだが、結局本作でも決定的な結論はなかったように思う。
前作の監督であるリドリー・スコットがインタビューで、デッカードはレプリカント、と断言したという情報もあるが…
まとめ
「ブレードランナー 2049」の良いところは、前作の世界観を崩していないところだ。
現実の世界では35年の時が過ぎ、その間Windows95がリリースされ世界はインターネットで繋がり、いまやスマートフォンで一人ひとりが常にオンラインにある状態になった。
ブレードランナーの世界でも30年の時が流れているはずなのだが、携帯端末が登場することもインターネットで高速通信することもない。
一方でパトカーは空を飛び、バーチャルIAは人格を持ち、人造人間は反乱を起こす。
ある意味で歪な前作の世界観を、しっかりと継承していて違和感を感じさせない。
名作「ブレードランナー」の続編にふさわしい傑作映画といって良いだろう。
ブレードランナー 2049
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