今、各種電子書籍販売サイトで「東京創元社 短編SFはおもしろい!話題作100円均一セール!」開催中だ。
僕が好きな関西SF作家、堀晃氏の短編もも対象となっている。
10月2日を過ぎても
2018年12月に発売されたSF短編集「Genesis 一万年の午後」に収録された作品。
タイトルの「10月2日を過ぎても」は、小浜徹也氏のまえがきにもあるように、天文学者でSF作家としても有名な(僕は知らなかった…)フレッド・ホイル氏の、「10月1日では遅すぎる」のオマージュのようだ。
フレッド ホイル
早朝の出勤時間に起こった大阪北部地震や、東から西に移動する変則的な台風12号など、大阪を襲った自然災害を日記風に堀晃氏自身(?)が語っている。
大阪に住んでいる人間に取っては、「そうそう、こんなことがあったな…」と思えて楽しい。
しかし、これのどこがSFか、と思いながら読んでいると、最終章でSFになる。
「えっ、大阪でこんなことあったっけ?」と思ったら、これがSFだった。
▼ これは100円ではない。
久永実木彦 ・高山羽根子・宮内悠介、加藤直之、秋永真琴・その他
循環
2020年8月に発売されたSF短編集「Genesis 一万年の午後」に収録された作品。
これも堀晃氏の回顧録のように語られる。
実際に堀氏は、大阪大学基礎工学部を卒業後に、繊維メーカーに勤務していたようだ。
そこでみつけた「原器」と名づけた、「底の抜けたクラインの壺」のような金属筒。
この謎を巡り、地球外知的生命体との交信が始まる、かと思えば、そんなことはなかった。
半世紀続けてきた事業を終え後期高齢者となった私(堀晃氏自身?)が、淀川から毛馬の閘門を巡りながら、過去を追想する数時間の物語だ。
そんな中、「10月2日を過ぎても」にも描写されているの淀川の修復工事に携わったオランダ人、ジョージ・アルノルド・エッセルが、だまし絵版画で有名なマウリッツ・エッシャーの父であることを知り、堀氏は不思議な因縁を感じる。
最後は、無理やりSF(っぽい感じ?)にしたが、読後感は悪くない。
この本をガイドに、淀川あたりを聖地巡礼してみたくなった。
▼ これも100円ではない。
宮澤伊織・空木春宵・オキシタケヒコ・池澤春菜・下山吉光・その他
まとめ
どちらの作品も、大阪の地名が多数登場する(主に大阪市北部の淀川あたり)。
長く大阪に住んでいる僕は、位置関係もよく分かり楽しめた。
大阪在住のSFファンのみならず、読書家にとっての必読書といって良さそうだ。
なお「東京創元社 短編SFはおもしろい!話題作100円均一セール!」は、各電子書籍販売サイトで行われているようだ。
電子書籍販売サイトによって期間が違うようだが、だいたい2024年3月6か7日が最終日となっている。
もちろん堀晃氏以外にも、多くの作品が対象になっている、
この機会にSF短編に耽溺するのも悪くないだろう。
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