文庫化と同時に電子書籍化されるのではないかと期待していたが、村上龍の「オールド・テロリスト」にその様子はない。
しかたなく(?)久しぶりに紙の本(文庫本)を購入し読んでみると、改めて電子書籍、Kindleのありがたみが分かった。
紙の本は重い!
紙というとペラペラで軽いイメージがあるが、一定量を超えるとても重い。
読書家であれば、本の重さはよくご存知のはずだ。
持ち運び時はもちろん、読んでいる時も本を支えているのが辛く感じる時がある。
特に「オールド・テロリスト」は文庫本としてもページ数が多い(約650ページ)。
自宅にスケールがないので正確な重さは分からないが、ネットで調べると100ページで50gや300ページで200gなどのデータがある。
650ページでは320g〜430g、約400g弱といったところか。
一方でKindle PaperwhiteはWi-Fiモデルが205g。
僕はカバーを使っているので、プラス100gと考えると305g。
文庫本の方が100g近く重いことになる。
この差が長時間読んでいる時に負担になってくるのだろう。
デスクやテーブルに置いて姿勢正しく読書すれば良いのだが、自由な姿勢で読めるのも文庫本の良いところでもある…
紙の本はページ捲りが面倒!
Kindleの良いところは、片手で操作できるところだ。
例えば通勤電車で、右手で吊革につかまりながら左手でKindleを持ち、左親指でページを捲ることも可能だ。
一方文庫本は、片手でページを捲ることも不可能ではないが、特に「オールド・テロリスト」のように分厚く重い本ではコツと慣れが必要だ。
また、文庫本の紙は薄い。
数ページに1回は、2〜3ページまとめて捲ってしまう。
歳をとって指先が乾いているからだ。
昔、年寄りが本や新聞のページを捲るのに指先を舐めているのを見て、汚いと思ったが、今はその気持が少し分かる(だからといって、もちろん今でも僕はそんなことはしないけど…)。
タップするだけで確実に1ページ捲れるのは正義だ。
紙の本は文字の大きさを調整できない!
僕は “ド” が付くくらいの近視で、しかも左右の視力が極端に違うので細かい文字に焦点を合わせにくい。
しかも最近、老眼のケがでてきたのでなおさら、本と目の距離が微妙になってきた。
座って読む時、ベッドで寝転がって読む時、通勤時に電車内で立って読む時ごとに、目のピントを駆使することになり疲れる。
Kindleなら文字の大きさを調整できるうえ、バックライトもあるので、こんな目を持つ僕でも最適化しやすい。
これからの高齢化社会に向けて、Kindle(電子書籍)の重要性が増すのではないか、と考えているのは僕だけだろうか。
紙の本はベッドで読めない!
本と飲み物を持ってベッドに入る、睡眠前のひとときが好きだったのは、村上春樹のどの作品の主人公だったろうか。
それに憧れているわけではないが、僕も寝る前に部屋の灯りを消してKindle Paperwhiteを持ってベッドに入るのが日課になっている。
灯りがなくても、Kindle Paperwhiteにはバックライトがあるので、読書することが可能だ。
眠くなったら、そのまま閉じて(オートスリープ!)目も閉じるだけだ。
紙の本は光が絶対条件で、眠る時に部屋なりベッドサイドなりの灯りを消す一行程が必要になる。
もちろん灯りを付けたまま眠れば良いのだが、僕は真っ暗でないと熟睡できない…
まとめ
とはいえ、そんな苦行(?)を乗り越えて「オールド・テロリスト」は読む価値がある本だ。
村上龍は、デビュー作「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞と芥川龍之介賞を受賞した。
いわゆる純文学作家にカテゴライズされる作家といって良いだろう。
しかし、その作品群に純文学特有の説教臭さはなく、単純に読み物として面白い。
特に「オールド・テロリスト」は、凡百の冒険小説、テロリズム小説より圧倒的に面白い。
もし冒険小説ファンで村上龍を読んだことがない人がいれば、この「オールド・テロリスト」と「半島を出よ」をオススメする。
「オールド・テロリスト」は、どこか僕が好きなアニメ「東のエデン」にも通底する部分があって、とても興味深かった。
それにしてもイイ加減、村上龍もKindle化して欲しいな…
[文中敬称略]
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