2018年4月10日、大手携帯キャリア3社、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクは、5月9日から統一メッセージングサービス「+メッセージ」を開始することを発表した。
+メッセージは、RCS(Rich Communication Services)に準拠したサービス。
Googleなども推進しており、世界標準化されつつあるという。
LINEへの対抗意識は各社とも否定しているが、非常に類似したサービスであることは事実。
LINEとどう違うのだろうか。
+メッセージの優位性は!?
各社アピールしているのは、+メッセージはIDなどの交換は必要なく、電話番号だけで通信できるということ。
ここにLINEに対するアドバンテージをアピールしているようだが、果たしてそうだろうか。
かつてLINEも電話番号で通信できた
サービス開始当初からのLINEユーザーであれば、電話番号を登録した時点でLINEで通信できる人が “友だち” に自動的にラインナップされたことを覚えている人もいるだろう。
これは自分のスマートフォン内のアドレス帳データが自動的にLINEのサーバに送られ、サーバ内に保存されている既存のLINEユーザーの電話番号と合致すれば、“友だち” と判断されアプリ内に表示されるという機能だ。
この機能によりLINEは爆発的にユーザーを増やすことができた。
通常のメーリングサービスやSNSのように、アドレスやIDを交換する必要がなく、登録した瞬間からサービスを利用することができるからだ。
この機能は個人情報保護観点から問題があるのではないか、ということで、現在ディフォルトでオフになっている。
LINEアプリの[設定(歯車アイコン)]>[友だち]の[友だちの自動追加]と[友だちへの追加を許可]をオンにすることで、今でもこの機能を使うことはできる。
しかしディフォルトでオフになっていることもあり、この機能を使っている人は少ないだろう…
+メッセージはLINEが改善した機能と同じ轍を踏もうとしているのだろうか…
電話番号だけで通信できるわけではない
電話番号だけで簡単に通信できるSMSは、ほとんどのスマートフォンにプリインストールされているSMSアプリで機能していた。
通常(脱獄したりroot化しない限り)このアプリは削除できないので、ふだん使っていない人にもSMSを送信することは可能だ。
しかし+メッセージは、専用のアプリをダウンロードしスマートフォンにインストールする必要がある。
つまり電話番号がわかっても、送信する側はもちろん受信する方も+メッセージアプリをインストールしていなければならない。
単純に電話番号を知っていれば使える、というサービスでもなさそうだ。
MVNO非対応
現時点ではMVNO(格安SIM)には非対応だという。
MVNOは全ユーザーの10〜12%だといわれている。
スマートフォンやパソコンなどに詳しい人で、MVNOを利用している人も少なくないだろう。
まず最初に新しいネットサービスを試してみるのは、こういう人たちだ。
そういう人が使えないのは、ネットサービスとして致命的ではないだろうか(僕も使えない…)。
僕のまわりの大手キャリアを使っているふつうの人たち(?)は、「+メッセージって何? 聞いたこともない」という人が少なくない。
今後3社が、一般ユーザーにどうアピールしていくかも、普及のカギになりそうだ。
まとめ
LINEはセキュリティ的に不安だから+メッセージを使いたい、という人もいるようだ。
一時、某有名人のトークが流出したり、なりすまし事件などがあったので、その懸念も理解できないわけでなない。
しかしその原因は、ユーザー自身の管理不足にあったのではないかと、個人的には考えている。
スマートフォンやアプリにパスワードを設定しない、設定しても推測しやすいパスワードであったりが原因ではなかったか。
+メッセージも管理しだいでは、いくらでも内容の流出や乗っ取りによるなりすましは発生するはずだ。
ほんとうにセキュリティを重視したいのであれば、米国上院議員も公式に認可し、あのスノーデンも推奨している「Signal」を使うべきだろう。
通話やメッセージを暗号化する、セキュリティー強化型メッセンジャーアプリ「Signal」
また、iPhoneに標準装備されている「メッセージ(iMessage)」もセキュリティ性能が高いといわれている。
iOS端末間でしか使えないのが致命的ではあるが。
少なくとも現時点でLINEから+メッセージに乗り換える理由はなさそうだ。
とはいえ、MVNOでも利用可能になれば、僕も+メッセージを一度は使ってみるつもりだが…
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